母はアルファーの肩を揺すった。けれどアルファーは表情を変えなかった。
母は兄がいるときはそんなにひどい怒り方をしなかった。兄のことが大好きだった母は兄には人間としてもいい母親だと思われたかったのだと思う。
ほらほら、ちゃんと片づけて。アツシくんはこんなものばっかり集めてほんとに面白い子なんだから、ねえ、タクちゃん。
そう言ってアルファーのことも愛おしげに抱きしめようとしたりもしたが、アルファーはすごい勢いで身を引いた。
あらあら。母は傷ついたようにさも困ったように兄を見た
探索四十 洗腦。
そんなとき兄は、わあ、アッシー、これすごいなあ、本物そっくりだよ。ここのドア開くんだよな。すごいなあ。など、模型の一つをとり、感嘆したようにアルファーに話しかけた。アルファーの表情が少し和らいだ。
母さんもこれだけ買ってあげるんだからほんと、優しいよな。ね、母さん。すると母の顔も和らぎ、満足したように兄に微笑むのだった。
こんなことがどれだけあっただろう。数えられないほどだった
韓國食譜。
おかんは? 兄が聞く。大阪に行ってから母のいないところでは、兄は母のことをおかんと呼ぶようになった。母さんより、そう呼ぶと私や父の緊張度が和らぐのを知っていた。