もう内容もおぼえていないが、足の不自由な医学生が生きることに煩悶しながら、さまざまな人生体験をしておとなになっていく、そんな内容だったと思う
鋁窗維修。
英文をどの程度読解できたかはわからないが、自分と年齢がちかい主人公にすっかり感情移入してしまい、夢中で読みつづけることができたんだと思う。
原題のbondageという英語は、辞書でみると束縛だとか奴隷の身分だとかとあり、あまり良いイメージの言葉ではなかった。それが日本語訳された本の題は「人間の絆」となっていて、Human(人間)の関係というか結びつきというものが、だいぶマイルドなものになったように感じられた。
じつは、絆という漢字の意味も、そのとき辞書で引いてはじめて知ったのだった
護士。
その小説を読みながら、ぼくの中でbondageという言葉と絆という言葉とは相反しているようで、ふたつの意味の世界を行き来しながら、ぼくは揺れうごく主人公の心の振幅を探ろうとしていた。彼の煩悶は、その頃のぼく自身の煩悶でもあったのだ。そんな記憶とともに、そのとき複雑な心の動きがあったことも、こんど思い出した 。