日曜日の朝は、ラジオを6時にセットしてある。
寝床のなかで、まだ夢うつつのまま、古典講読の『源氏物語』を聴く。加賀美 幸子アナウンサーの古文朗読が心地いい。日本語はそんなにきれいだったのかと思う。
言葉の意味はまだらにしか解らない。まるで外国語を聞いているようだ。毎回、朧がかかった夢の続きに浸っているようだ。それが心地いいのかもしれない
BB紅疹。
解説は大阪大学名誉教授の伊井 春樹氏。懇切丁寧な解説を聞きながら、原文はそこまで深く書いてあるのかと感心する。さすが千年を生き残ってきた文学はちがうものだ。
講読は終盤の宇治の場面にさしかかっており、今日の放送は浮舟の巻だった。浮舟という若くて美しい姫が、対照的なふたりの公達との恋のはざまに悩む
Pretty Renew 冷靜期。
宇治は憂き里とも呼ばれたという、憂いの雲がかかった宇治の情景が浮かんでくる。
宇治川の流れは、昔も今も変わらずに激しい。浮舟が胸を押さえて悩んでいるそばでは、川が恐ろしい水音を響かせている 。
寝支度に来た乳母が心配して、物思いが過ぎると、物思いする魂は体から離れてしまうので、身近な人に悪い夢となって現われるのだと話す。そして、どちらか一方に心を集めて、成り行きに任せるのがいいでしょうと進言する。
浮舟は着物を顔に押し当てるようにして寝たそうです、と。そのあとの展開が不安なまま残される。
橘の小嶋は色も変はらじをこの浮舟ぞ行くへ知られぬ
浮舟の魂は、すでに川の流れにさ迷いでていたのだろうか。
ぼくもふたたび、夢の舟に乗せられて、川の流れを漂いはじめる。日曜日の朝の至福のときでもある。